お茶の歴史

【お茶の歴史】
日向山 九品院 般若寺は、千年を超える由緒ある古寺という伝統の他に、もう一つ「鹿児島茶発祥の地」というすばらしい歴史を持っています。
今からおよそ六百五十年前の室町時代のころ、般若寺の住職を務めることとなった住持が宇治から下山し、寺園に茶樹を植え製茶し、その製造方法を門徒に伝授したのが、鹿児島県における製茶のはじまりとされています。

鹿児島茶発祥の地説明図

鹿児島茶発祥の地説明図

江戸時代(1603~1863)後期に編纂された「三国名勝図会(さんごくめいしょうずえ)」には、お寺の歴史とともにお茶について次のような記述が残されています。

『当郷諸村の内に多く産す、名品種々あり、本藩の内、茶の名品は吉松、都城、阿久根をもって上品とす、その内にても吉松の産は、往古より特に久しく名品を出す、およそ当郷の地は、茶性にあいかない、茶種を蒔かざれども、山林の間、天然に生じやすし、その名産あるおして知るべし』

『茶園 当寺の境内に多し、名品にして世に是を賞美す、名を「朝日の森」と呼へり』

当寺の茶は品質が良く、生産がさかんに行われていたことがわかり、お茶の栽培・製茶はこの般若寺から藩内に広がったことが想像できます。
鹿児島県は現在、静岡に継ぐ全国第2位の茶の生産収穫量を誇ります。

般若寺の茶樹は、山林に自生し、丈が2メートル前後になるものもあり、葉は現代のお茶葉に比べて大きく、椿の葉大になるなどの特徴があります。
葉の形状はアッサム茶に似ており、京都・宇治の萬福寺のものと同種ではないかと思われます。
現在は茶園と呼ばれるほどの密集状態は見られず、山間部に散在しています。
周囲には幼木も見られることから、生育力が強く、野生種であると思われます。

以上のことから、般若寺はまさに「鹿児島茶発祥の地」としての歴史を今日に繋いでいると言えるのです。

※お茶一杯の日(毎年11月)

日本茶インストラクター協会鹿児島県支部~お茶の歴史~に般若寺の紹介が掲載されています。

参考: 鹿児島茶発祥の地 般若寺(PDF) | 湧水町公式Webサイトより