仏陀の教え

仏教の目的とは、上求菩提(じょうぐぼだい・菩薩が仏の境界を求めること)、下化衆生(げけしゅじょう・人々の幸せのために仏の道を伝え救済すること)の2つです。
上求菩提、下化衆生に励む者を「菩薩」と呼びます。

四諦(したい)
◆苦諦
生あるものの実は苦であり、生老病死は避けて通れない。
人生は全て苦であり、その状態が普通であると理性で悟ること。
◆集諦
無知と煩悩から様々な苦しみが生じる。苦しみをもたらす原因のこと。
苦をもたらす集起(原因)を探求し、悟ること。
◆滅諦
一切の苦をなくした境地。
渇愛を捨て、解脱し一切の煩悩を断った時に苦が消滅するという悟り。
◆道諦
苦を離れる道。苦を滅するに至る道。
「滅諦」に至るまでの道→「八正道」
八正道(はっしょうどう)
正見:正しい見方・見解。修業によって会得する神の智慧と真理。
正思惟:正しく考え判断すること。自己本意な立場・世俗的な心の否定。
正語:妄語(嘘)、綺語(無駄話)、両舌(仲違いさせる言葉)、悪口を離れること。
正業:殺生を離れ、盗みを離れ、性的行為を離れた正しい行い。正思惟の実践。
正命:反道徳的な行動から離れ、正当な生業をもって生活すること。
正精進:四正勤(ししょうごん)という4つの実践について精進・努力すること。
正念:正しい心の持ち方・専念。現在の内外の状況に卓見した状態でいること。
正定:正しい心の集中の仕方・禅定。正定と正念によって初めて正見が得られる。
◆四正勤(ししょうごん)
四種の正しい努力。
※まだ生じていない悪を新しく生まれさせないように勤めること。【律儀断(りつぎだん)】
※すでに生じた悪を断とうと勤めること。【断断】
※まだ生じない善を生まれさせるように勤めること。【随護断】
※すでに生じた善を増大させるように勤めること。【修断(しゅだん)】
十二縁起(十二因縁)
無明(むみょう):無知で何も分からないこと
行(ぎょう):志向作用
識(しき):識別作用
名色(みょうしき):物質現象と精神現象
六処(ろくしょ):六つの感覚器官
触(そく・しょく):六つの感覚器官にそれぞれの感受対象が触れること
受(じゅ):感受
愛(あい):渇愛(喉の渇きを癒すために水を求めるように、人間が持つ根本的な欲望)
取(しゅ):自分の求めるもののために執着する
有(う):存在
生(しょう):生まれること
老死(ろうし):老いと死
◆十二縁起(十二因縁)
仏陀が菩提樹の下で悟ったといわれる真理。十二縁起または十二因縁とも呼ばれる。
苦しみの原因は無明より始まり老死で終わるとされ、それぞれが順序として相互に関連する十二の因果理法を指す。
三法印(四法印)
◆諸行無常(しょぎょうむじょう)
形あるものは全て姿を変える。この世の事象は常に変化し移り変わっている。
◆諸法無我(しょほうむが)
この世のあらゆる事物・事象には主体となる「我」がない。
◆涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)
我を離れ、煩悩を寂滅した「悟り」と「静かなやすらぎの境地」を指す。
◆一切皆苦(いっさいかいく)
この世のすべてのものは苦である。仏教における「苦」とは思い通りにならない事。
◆三法印(四法印)
小乗仏教で仏教の根本理念を示す3つの教理。諸行無常・諸法無我・涅槃寂静の三つ。
また、三法印に一切皆空を加えたものを四法印という。
四苦八苦
生:この世に生まれる苦しみ
老:老いていく苦しみ
病:病気になる苦しみ
死:死から免れない苦しみ
愛別苦離苦(あいべつくりく):愛する人と離れる苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく):憎む者にも会わなければならない苦しみ
求不得苦(ぐふとくく):求めるものが得られない苦しみ
五陰盛苦(ごおんじょうく):五蘊への執着から生まれる苦しみ
◆五蘊(ごうん)
「色・受・想・行・識」の5つを五蘊と呼ぶ。
生きているだけで次々と湧き上がってくる苦しみ。
色(しき):身体機能が活発であるために起こる苦しみ
受(しゅ):物事を見る、外界からの刺激を受ける心の機能
想(そう):見たものについて何かをイメージする心の機能
行(ぎょう):イメージしたものについて何らかの意志決定を下す心の機能
識(しき):受・想(刺激とイメージ)、行(意志決定)を統合して状況判断を下す心の機能
◆四苦八苦
人間のあらゆる苦しみ。人間の苦悩の原因となるもの。
「生・老・病・死」の四苦に愛別苦離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦の四苦を加えた八苦の事を指す。