お経について

仏教には八万四千もの法門があると言われていますが、それら全てが釈迦の存命中に語られたわけではないようです。
お経を詳しく分類すると、経・律・論の三部から構成されていて、このうちの経の部分だけが釈迦の直説だと言われています。

お経の分類

三蔵(内容別に分類)
仏陀の教えを「経蔵」「律蔵」「論蔵」としてまとめたもの。翻訳聖典(1692部)
◆経蔵
釈迦の教えをまとめたもの
◆律蔵
仏教徒の行動規律(戒律)・僧侶の守るべきルール
◆論蔵
経や律を研究してまとめたり、注釈や解説をつけたもの
時期別に分類
時期によって数百年(釈迦入滅後500年以後)にわたって編集された主な経典
◆初期
「般若心経」「維摩経」「華厳経」「法華経」「無量寿経」等
◆中期
「涅槃経」「勝鬘経」「華厳経」「金光明経」等
◆後期
「大日経」「金剛頂経」等
教義別に分類
「経」とは?
「経」経典」という語には様々な意味があり、「四書五経」と言われる五経のように、仏教が中国に伝わる以前から儒教で用いられていたものもあります。
漢字の「経」は「たていと」「すじむち」「つね」「のり」(「のり」とは「礼儀」「法則」「聖典」の意)などの意味を持ち、常に変わることのない正しい道理・礼儀・法則という意味を持っていることから、「経」とは正しい道理・道義を述べた聖典として使われるようになりました。

◆小乗経典
実在の人物である釈迦が、同じ歴史的人物である出家者たちに対して教えを説いたのが小乗経典の建前とされています。
小乗仏教は、基本的に出家者のためのものであるため、経典も第一義的には出家者のための教えとなります。従って、そこで説かれている教義は非常に理性的で、誰にも分かりやすく、常識の世界と大きくかけ離れた奇跡的なものが少ないのが特色です。
◆大乗経典
小乗仏教に対し、大乗仏教では、主として在家信者が対象となっています。
小乗仏教においては仏になれないとされる女性も大乗仏教では主役になる事もあります(勝鬘経など)
また、しばしば宗教的な瞑想体験が述べられているのも大乗経典の特色です。
◆密教経典
密教経典は基本的に大乗経典と同じですが、神秘的な傾向をよりいっそう強めたものであると言えるでしょう。
また、密教においては、人間的な欲望や男女の性行為が肯定されており、それが大きな特色でもあります。
このような仏教経典を集成したものを「大蔵経」または「一切経」と呼びます。