星祭りのいわれ

【星祭とは】

主に密教において、除災招福・無病息災を祈祷するために、個々人の当年星(とうねんじょう)と本命星(ほんみょうじょう)を祀る祭りの事を言い、星供養、星供(ほしく)とも呼ばれています。
密教の占星術では、北斗七星の七つの星のうち一つを、その人の「本命星」と定め、一生変わらない宿命を司る星として考えられています。そして、一年ごとに巡ってくる吉凶を左右する廻り星を「当年星」「当年属星」と呼んでいます。
これらの星を供養し、個人の1年間の幸福を祈り、災いを除く法要行事であり、旧暦の年の初め(立春)と節分に行われるのが一般的となっています。
今日では全国の寺院において、様々な星祭の行事が行われています。なお、七夕も星祭の一種ですが、内容は異なっています。

また、個人の幸福を祈願する本命星供(ほんみょうじょうく)に対して、七星全部を供養する「北斗七星法」もあります。

北斗法,北斗供ともいう。天変,疫病,夭死などの災を除き,息災延命を祈願するために,一字金輪北斗七星を供養する修法のこと。個人の求福のためにその人の本命星を供養する本命星供(ほんみようしようく)に対し,本法は七星全部を供養する。真言宗,天台宗寺門派で重視される秘法である。月光の減じた日を選び,本尊として北斗曼荼羅(星曼荼羅)を懸け,大壇上に幡7流・幣14本(略儀には幡3流・幣6本)を立て,飯・ろうそくなどで荘厳し,北斗七星,当年星,本命星・九曜,生月宮・十二宮,本命宿・二十八宿の供養を行う。
世界大百科事典 第二版より

【本命星一覧】(七曜星)

貪狼星(とんろんしょう)
干支=子(ね・子年(ねずみどし)生まれ)
巨門星(こもんしょう)
干支=丑(うし・丑年(うしどし)生まれ)・亥(い・亥年(いのししどし)生まれ)
禄存星(ろくぞんしょう)
干支=寅(とら・寅年(とらどし)生まれ)・戌(いぬ・戌年(いぬどし)生まれ)
文曲星(もんこくしょう)
干支=卯(う・卯年(うさぎどし)生まれ)・酉(とり・酉年(とりどし)生まれ)
廉貞星(れんじょうしょう)
干支=辰(たつ・辰年(たつどし)生まれ)・申(さる・申年(さるどし)生まれ)
武曲星(むこくしょう)
干支=巳(み・巳年(へびどし)生まれ)・未(ひつじ・未年(ひつじどし)生まれ)
破軍星(はぐんしょう)
干支=午(うま・午年(うまどし)生まれ)

【平成25年星祭・当年星・干支・九星一覧】

木曜星(もくようせい)
星祭・大吉 大吉 四緑木星
大正 4年(1915)生まれ 99歳 乙卯(きのと・う)
大正13年(1924)生まれ 90歳 甲子(きのえ・ね)
昭和 8年(1933)生まれ 81歳 癸酉(みずのと・とり)
昭和17年(1942)生まれ 72歳 壬午(みずのえ・うま)
昭和26年(1951)生まれ 63歳 辛卯(かのと・う)
昭和35年(1960)生まれ 54歳 庚子(かのえ・ね)
昭和44年(1969)生まれ 45歳 己酉(つちのと・とり)
昭和53年(1978)生まれ 36歳 戊午(つちのえ・うま)
昭和62年(1987)生まれ 27歳 丁卯(ひのと・う)
平成 8年(1996)生まれ 18歳 丙子(ひのえ・ね)
平成17年(2005)生まれ  9歳 丙戌(ひのえ・いぬ)
月曜星(げつようせい)
星祭・大吉 大吉 三碧木星
大正 5年(1916)生まれ 98歳 丙辰(ひのえ・たつ)
大正14年(1925)生まれ 89歳 乙丑(きのと・うし)
昭和 9年(1934)生まれ 80歳 甲戌(きのえ・いぬ)
昭和18年(1943)生まれ 71歳 癸未(みずのと・ひつじ)
昭和27年(1952)生まれ 62歳 壬辰(みずのえ・たつ)
昭和36年(1961)生まれ 53歳 辛丑(かのと・うし)
昭和45年(1970)生まれ 44歳 庚戌(かのえ・いぬ)
昭和54年(1979)生まれ 35歳 己未(つちのと・ひつじ)
昭和63年(1988)生まれ 26歳 戊辰(つちのえ・たつ)
平成 9年(1997)生まれ 17歳 丁丑(ひのと・うし)
平成18年(2006)生まれ  8歳 丙戌(ひのえ・いぬ)
計都星(けいとせい)
星祭・大凶 大凶 二黒土星
大正 6年(1917)生まれ 97歳 丁巳(ひのと・み)
大正15年(1926)生まれ 88歳 丙寅(ひのえ・とら)
昭和 元年(1926)生まれ 88歳 丙寅(ひのえ・とら)
昭和10年(1935)生まれ 79歳 乙亥(きのと・い)
昭和19年(1944)生まれ 70歳 甲申(きのえ・さる)
昭和28年(1953)生まれ 61歳 癸巳(みずのと・み)
昭和37年(1962)生まれ 52歳 壬寅(みずのえ・とら)
昭和46年(1971)生まれ 43歳 辛亥(かのと・い)
昭和55年(1980)生まれ 34歳 庚申(かのえ・さる)
昭和64年(1989)生まれ 25歳 己巳(つちのと・み)
平成 元年(1989)生まれ 25歳 己巳(つちのと・み)
平成10年(1998)生まれ 16歳 戊寅(つちのえ・とら)
平成19年(2007)生まれ  7歳 丁亥(ひのと・い)
火曜星(かようせい)
星祭・大凶 大凶 一白水星
明治42年(1909)生まれ 105歳 己酉(つちのと・とり)
大正 7年(1918)生まれ  96歳 戊午(つちのえ・うま)
昭和 2年(1927)生まれ  87歳 丁卯(ひのと・う)
昭和11年(1936)生まれ  78歳 丙子(ひのえ・ね)
昭和20年(1945)生まれ  69歳 乙酉(きのと・とり)
昭和29年(1954)生まれ  60歳 甲午(きのえ・うま)
昭和38年(1963)生まれ  51歳 癸卯(みずのと・う)
昭和47年(1972)生まれ  42歳 壬子(みずのえ・ね)
昭和56年(1981)生まれ  33歳 辛酉(かのと・とり)
平成 2年(1990)生まれ  24歳 庚午(かのえ・うま)
平成11年(1999)生まれ  15歳 己卯(つちのと・う)
平成20年(2008)生まれ   6歳 戊子(つちのえ・ね)
日曜星(にちようせい)
星祭・大吉 大吉 九紫火星
明治43年(1910)生まれ 104歳 庚戌(かのえ・いぬ)
大正 8年(1919)生まれ  95歳 己未(つちのと・ひつじ)
昭和 3年(1928)生まれ  86歳 戊辰(つちのえ・たつ)
昭和12年(1937)生まれ  77歳 丁丑(ひのと・うし)
昭和21年(1946)生まれ  68歳 丙戌(ひのえ・いぬ)
昭和30年(1955)生まれ  59歳 乙未(きのと・ひつじ)
昭和39年(1964)生まれ  50歳 甲辰(きのえ・たつ)
昭和48年(1973)生まれ  41歳 癸丑(みずのと・うし)
昭和57年(1982)生まれ  32歳 壬戌(みずのえ・いぬ)
平成 3年(1991)生まれ  23歳 辛未(かのと・ひつじ)
平成12年(2000)生まれ  14歳 庚辰(かのえ・たつ)
平成21年(2009)生まれ   5歳 己丑(つちのと・うし)
金曜星(きんようせい)
星祭・半吉 半吉 八白土星
明治44年(1911)生まれ 103歳 辛亥(かのと・い)
大正 9年(1920)生まれ  94歳 庚申(かのえ・さる)
昭和 4年(1929)生まれ  85歳 己巳(つちのと・み)
昭和13年(1938)生まれ  76歳 戊寅(つちのえ・とら)
昭和22年(1947)生まれ  67歳 丁亥(ひのと・い)
昭和31年(1956)生まれ  58歳 丙申(ひのえ・さる)
昭和40年(1965)生まれ  49歳 乙巳(きのと・み)
昭和49年(1974)生まれ  40歳 甲寅(きのえ・とら)
昭和58年(1983)生まれ  31歳 癸亥(みずのと・い)
平成 4年(1992)生まれ  22歳 壬申(みずのえ・さる)
平成13年(2001)生まれ  13歳 辛未(かのと・ひつじ)
平成22年(2010)生まれ   4歳 庚寅(かのえ・とら)
水曜星(すいようせい)
星祭・末吉 末吉 七赤金星
明治45年(1912)生まれ 102歳 壬子(みずのえ・ね)
大正 元年(1912)生まれ 102歳 壬子(みずのえ・ね)
大正10年(1921)生まれ  93歳 辛酉(かのと・とり)
昭和 5年(1930)生まれ  84歳 庚午(かのえ・うま)
昭和14年(1939)生まれ  75歳 己卯(つちのと・う)
昭和23年(1948)生まれ  66歳 戊子(つちのえ・ね)
昭和32年(1957)生まれ  57歳 丁酉(ひのと・とり)
昭和41年(1966)生まれ  48歳 丙午(ひのえ・うま)
昭和50年(1975)生まれ  39歳 乙卯(きのと・う)
昭和59年(1984)生まれ  30歳 甲子(きのえ・ね)
平成 5年(1993)生まれ  21歳 癸酉(みずのと・とり)
平成14年(2002)生まれ  12歳 壬午(みずのえ・うま)
平成23年(2011)生まれ   3歳 辛卯(かのと・う)
土曜星(どようせい)
星祭・半吉 半吉 六白金星
大正 2年(1913)生まれ 101歳 癸丑(みずのと・うし)
大正11年(1922)生まれ  91歳 壬戌(みずのえ・いぬ)
昭和 6年(1931)生まれ  83歳 辛未(かのと・ひつじ)
昭和15年(1940)生まれ  74歳 庚辰(かのえ・たつ)
昭和24年(1949)生まれ  65歳 己丑(つちのと・うし)
昭和33年(1958)生まれ  56歳 戊戌(つちのえ・いぬ)
昭和42年(1967)生まれ  47歳 丁未(ひのと・ひつじ)
昭和51年(1976)生まれ  38歳 丙辰(ひのえ・たつ)
昭和60年(1985)生まれ  29歳 乙丑(きのと・うし)
平成 6年(1994)生まれ  20歳 甲戌(きのえ・いぬ)
平成15年(2003)生まれ  11歳 癸未(みずのと・ひつじ)
平成24年(2012)生まれ   2歳 壬辰(みずのえ・たつ)
羅喉星(らごうせい)
星祭・大凶 大凶 五黄土星
大正 3年(1914)生まれ 100歳 甲寅(きのえ・とら)
大正12年(1923)生まれ  91歳 癸亥(みずのと・い)
昭和 7年(1932)生まれ  82歳 壬申(みずのえ・さる)
昭和16年(1941)生まれ  73歳 辛未(かのと・ひつじ)
昭和25年(1950)生まれ  64歳 庚寅(かのえ・とら)
昭和34年(1959)生まれ  55歳 己亥(つちのと・い)
昭和43年(1968)生まれ  46歳 戊申(つちのえ・さる)
昭和52年(1977)生まれ  37歳 丁巳(ひのと・み)
昭和61年(1986)生まれ  28歳 丙寅(ひのえ・とら)
平成 7年(1995)生まれ  19歳 乙亥(きのと・い)
平成16年(2004)生まれ  10歳 甲申(きのえ・さる)
平成25年(2013)生まれ   1歳 癸巳(みずのと・み)

【節分・北斗柴燈護摩供養・星祭りのいわれ】

節分の夜「福は内、鬼は外」と大声を張り上げ、豆まきをして鬼追い。これを追儺(ついな)とも言いますが、この行事の由来は何から起こったものでありましょうか。
 それは今を去る千百年の昔、宇多天皇の御代、鞍馬の奥に僧正ケ谷というところがあり、そこに二頭の鬼が住んでおり、夜な夜な都に出て来て乱暴を働いたのでありますが、天皇は仏教に篤き信仰を持っておられたので毘沙門天のお示しにより、三石三斗の大豆を煎って鬼の眼に打ち、これを退治したとの故事に由るのであります。
 このような伝説が今も立春の前の夜、即ち冬と春との季節の分かれ目に行事として行われていますし、一年は春夏秋冬の順で移り変わりますので季節から言えば節分の日が「年越し」ということになるのであります。いよいよ明日から春が立ち、幸先良き新しい季節の出発に際して、神仏に祈り願う行事が節分会であります。
 私達人間は色々の星の下に生まれ、自分の星によって種々の運命が変わり、この運勢の変わり目が節分であるとされています。色々の星と言うのは月火水木金土の星の羅喉星と計都星の二つを加えた九曜星でありまして、これらの星によって吉凶が決まるのであります。
 従って、節分の夜には北斗七星、九曜星、大日経や宿曜経に説かれております日々の吉凶を表す二十八宿をお祀りして一年の厄を除き、福を招くことをお祈りする祈祷会を行うのでありまして、これを星供または星祭りと言うのであります。
 節分星祭りには星供次第という秘法を修するのでありますが、高野山では多く北斗護摩と言って、壇上で護摩木でもって火を焚いてご祈祷を行いますので、ここで密教の秘法であります護摩供(ごまく)について少し述べておくことに致します。
 弘法大師さまのご祈祷が主として、この護摩供の秘法によったということは種々の文献で明らかであります。大日経には、護摩のことを「妾分別を焼除し浄菩提心を成ず」とあり、大日経疏には「慧火(えか)をもって煩悩の薪を焼き尽くして余り無からしむるの義なり」とあります。
 要するに護摩供は、仏様の智慧の火をもって迷う心や病気など身体に巣食う不浄なるものを余すところなく焼き払い、清浄なる菩提心を中心として、災厄を消し(息災)幸せを増長し(増益)人に尊敬され(敬愛)迷いの世界より覚りの世界へ導かれ(鉤召=こうしょう)この現世において幸せに満ちた仏国土を築くための供養行であります。