か行

【か行】→開基(かいき)~権(ごん、げん)

開基(かいき)
仏寺を建立する事。または建立した人(僧)、基礎を成した人(僧)。創建の際、財政的援助を行った在俗の信者をも指す。
→開山
戒尺(かいしゃく)
拍子木の一種。受戒の際に、法要の順序を指示するため、または読経の拍子を合わせるために用いられる音具。
→音木(おんぎ)
戎定慧(かいじょうえ)
仏道を修める上で必要な戒律、精神を統一する禅定、真理を悟る智慧の事。三学とも呼ばれる。
→戎学・定学・慧学
戒壇(かいだん)
戒律を受戒する式場、石・土・磚(かわら)を用いて築かれた壇。出家者は受戒を受けることで僧尼として認められる。
→三戒壇
カイラス山
中国・チベット自治区南西部にそびえるラマ教・仏教・ヒンドゥー教の聖山。標高6656m。カン・リンポチェ峰、ガンディセ山とも呼ばれる。チベット仏教において須弥山と同一視される霊山。水晶が採掘される事でも有名。信仰のための霊山であり、登頂が許可されていないが、チベットで最も著名な修行僧であり吟遊詩人の一人でもあったジェツン・ミラレパ(1052年~1135年)が山頂に到達したという伝説もある。
→須弥山(しゅみせん)
覚者(かくしゃ)
真理を悟った人、目覚めた人。自ら智リ他者を目覚めさせる人。
覚醒(かくせい)
目を覚ます事。迷いから目が覚める事。自分の間違いに気づく事。
学僧(がくそう)
学問に優れた僧。修行中の僧。
加持(かじ)
本来は、仏の加護により災いを祓い衆生を守るという意味。
密教においては、仏の慈悲の力が衆生に加わり、衆生の信心が仏に伝わり相応して効果を発揮すること。
真言宗の行者が手に印を結び、口に真言を唱え、心を仏の境地に置き、仏と一体になること(三密加持)。
→加持祈祷
加持祈祷(かじきとう)
密教における仏の呪力を願う儀式の一種。
合掌観音(がっしょうかんのん)
三十三観音の一人で、合掌する姿で表される。完全な信心を持ち、衆生の心にある仏心と幸福を願っているとされる。
→三十三観音
喝破(かっぱ)
誤った説を排し、真理を説き明かすこと。物事の本質を明言すること。
羯磨曼荼羅(かつままんだら)
四種曼荼羅の一つ。彫像を用いた立体曼荼羅で、仏や菩薩の所作・行為を表す。
カヤカベ教
薩摩藩の一向宗弾圧から逃れるため、表向きには神道の名を称した秘密宗教の俗称。その実態は一向宗(浄土真宗)であり、隠れ念仏の一派から派生したと言われている。数百戸の信徒が鹿児島県霧島市の旧牧園町、横川町に分布する。鶏や牛を食べない厳格な精進を行い、経文や由来は全て口伝で伝えられる。藩の目に触れないよう行事などは全て夜10時以降に行なわれ、読経の最中にも外部の者が来れば即座にやめ、その者が帰ったのを確認してから再開したと言う。「親元」と呼ばれる教祖をいただき、本山とは縁を絶っている。浄土真宗の教義に山岳信仰を取り入れたものが現在のカヤカベ教の基礎となっている。
これは昭和39年の龍谷大学宗教調査班の調査報告に由るものである。
 しかし、龍谷大学の調査は一向宗の隠れ信徒でないかとの予断があったため、信徒はその真の教義を秘匿のため、調査方針に合わせて質問に返答したとも言われている。
近年、信徒の高齢化と減少が進んだので、教義の秘匿性も少しずつ緩んできている。
私の知る教徒は、「カヤカベとは伽耶来部教なのだ。霧島神宮も、鹿児島神宮も元々は我々の祖先が造営して祀ったお社なのだけど、大和との戦に敗れたので彼等に盗まれたのだ。だから一向宗とは一切関係がない」と、話す者もいる。
霧島市旧牧園町には、「昔々、北の加羅の国から戦乱を逃れた王族がこの地に住み着いた。
流浪の生活は厳しく王女は加羅の国に帰りたいと泣き暮れたので、侍女達は、あの高い山に登れば故国加羅が見えますよと励ました。それで霧島で一番高い山は加羅国(韓国)岳と名付けられた」との伝承がある。この説話もカヤカベの信徒が代々伝えたものだという。
安羅、伽耶、多羅とは、朝鮮が高句麗、新羅、百済の三国時代(紀元前1世紀~7世紀)にこれら3国に属さない伽耶小国連合の国名で、現在の韓国釜山付近に存在し、歴史教科書では任那日本府があったところとされている。
現実に、霧島市旧牧園町には安楽(現在では、あんらくと言うが、アラと読める)と言う地名があり、その隣の地区は妙見である。妙見とは北斗七星のことであり、神道には縁の深い名前である。
霧島市旧霧島町の霧島神宮の近くには、東多羅と言う地名が現存する。
霧島市市旧横川町には安良神社(現在では、やすら神社というが音読みすればアラジンジャ。708年創建で延喜式による大隅五社の一つ)が今も地域の人々に信仰されている。
霧島市旧隼人町に在る鹿児島神宮の本殿横には陪神として荒姫(アラヒメ)を祀る小さなお社が在る。
カヤカベ教徒の周囲には、安羅伽耶に関する説話、地名が現存することを考慮すると、彼等の先祖は倭国の北限から渡来して定着して興隆したにもかかわらず、大和政権との戦に敗戦後、弾圧されたものと思われる。
(この項目の文責=川越)
→隠れ念仏
閑古錐(かんこすい)
閑は「静かで落ち着いているさま」、「暇」という意味、古錐は使い古され役立たなくなった錐(キリ)を意味します。先が丸くなり、大工道具として使えなくなった錐は真新しい尖った錐にはない重厚さと風格があります。閑古錐とは、あえて多くを語らず急がず鈍重である事で、円熟した人間の魅力を積み重ねる様を表しています。一見ムダに見えるもの、役立たないように感じるものにこそ安らぎや学ぶべき事柄が存在しているものなのです。
観自在菩薩(かんじざいぼさつ)
一般には観音様、観世音として親しまれている菩薩。仏教における菩薩の一尊であり、高い徳と深い慈悲の心を持ち、衆生の救いを求める声を聴いて現世に姿を現すと言われる。
→観世音菩薩、救世菩薩(くせぼさつ)
貫首/貫主(かんじゅ)
天台座主(ざす・天台宗で最高の僧職)の異称。のちに、各宗総本山や諸大寺の住持にも用いられる。貫長。管主。
鑑真(がんじん)
我が国律宗の開祖。「授戒の大師」と称され、揚州の大明寺で律を講じる。唐にわたった普照(ふしょう)らの要請で5回の渡航を試みるもいずれも暴風により失敗、更に失明の苦難を乗り越え、天平勝宝(てんぴょうしょうほう)5年(753)来日。聖武上皇らに授戒し、7年東大寺に戒壇院を設立、翌年大僧正となる。天平宝字3年唐招提寺を建立した。天平宝字7年5月6日死去。76歳。
観想(かんそう)
精神を集中させて仏などの姿や性質を観察すること。仏の真の姿をとらえようと想念すること。
管長(かんちょう)
神道および仏道で一宗一派を管理する最高責任者。
巫(かんなぎ)
神の依代(よりしろ)である者、神との交信を行う者。
神に仕え、神の言葉を世俗の人々に伝える役割を持つ人々で、自身に「神降し」をしてご神託を伝える事が多い。女性は「巫」、男性は「覡」と表す。神和ぎ・神薙・神凪とも表記する。
観念論(かんねんろん)
主観的表象としての想念、客観的実在としての形相。人間がそれを認識する事で初めて実在するという考え。唯心論。
→実在論、唯物論、現実主義
灌仏会(かんぶつえ)
4月8日に釈迦の生誕を祝う仏教儀式。「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)と唱える誕生仏の像を花御堂(はなみどう)の中心に置き、柄杓(ひしゃく)で掬った甘茶を像にかける。一般的には「花まつり」と呼ばれ、日本では仏教系の年中行事となっている。成道会(じょうどうえ)、涅槃会(ねはんえ)とともに三大法会とされる。
カンマン(hmmaaM)
不動明王を表す梵字重字。「カン」は不動心、「マン」は柔軟心を表している。明王とは密教特有の尊格であり、不動明王は五大明王の中心となる明王である。大日如来の化身とされ、真言宗・天台宗・禅宗・日蓮宗など日本の仏教諸派で広く信仰されている。
→不動明王
帰依(きえ)
仏門に入ること。仏神を信じて心の拠り所にする事。仏教の教えに従うこと。
→三帰依 →「三宝に帰依する」
祈願(きがん)・安産祈願【あんざんきがん】
無事に子どもが生まれてくることを願う。
祈願(きがん)・安心立命【あんしんりつめい】
信仰によって心を安らかに保ち,どんなことにも心を乱されないことを願う。
祈願(きがん)・威徳成就【いとくじょうじゅ】
威厳と人徳を願う。勢力があり、しかも徳の高いことを願う。
祈願(きがん)・開運成就【かいうんじょうじゅ】
運が開けるように願う。
祈願(きがん)・開運厄除【かいうんやくじょ】
厄年にあたって厄難から逃れ運が開けるように願う。
祈願(きがん)・海難除災【かいなんじょさい】
航海上、船舶の船体や人命、積荷などに生じる災難を除去することを願う。
祈願(きがん)・家運隆盛【かうんりゅうせい】
一家の運命の勢いが盛んなことを願う。
祈願(きがん)・学業成就【がくぎょうじょうじゅ】
勉学の目標を成し遂げることを願う。
祈願(きがん)・家内安全【かないあんぜん】
家族に危険がなく、傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないことを願う。
祈願(きがん)・健康長寿【けんこうちょうじゅ】
健康で寿命が長いことを願う。
祈願(きがん)・合格祈願【ごうかくきがん】
合格を祈り願う。
祈願(きがん)・工事安全【こうじあんぜん】
工場の安全や工事がうまくいくように願う。
祈願(きがん)・交通安全【こうつうあんぜん】
人と車の道中の安全を願う。
祈願(きがん)・穀米成熟【こくまいせいじゅく】
食べ物に不自由しない環境に恵まれるように願う。
祈願(きがん)・五穀豊穣【ごこくほうじょう】
穀物などの豊作物が豊作になることを願う。
祈願(きがん)・災難削除【さいなんさくじょ】
思いがけない不幸や、身にふりかかる災いが無くなるよう願う。
祈願(きがん)・子孫繁栄【しそんはんえい】
各種生物の個々の血が繋がった子供・孫・玄孫云々と沢山生まれ、そして永遠に断絶することなく、続いていくこと。
祈願(きがん)・社運隆盛【しゃうんりゅうせい】
会社の命運の勢いが盛んなことを願う。
祈願(きがん)・寿命長遠【じゅみょうちょうおん】
寿命がいつまでも続くことを願う。
祈願(きがん)・商売繁昌【しょうばいはんじょう】
商売がにぎわい栄えることを願う。
祈願(きがん)・心願成就【しんがんじょうじゅ】
神や仏などに心から祈ることで思った事を実現できるように願う。
偽経(ぎきょう)
インド伝来のお経に似せて作られた中国の漢訳経典。
→中国撰述経典
狐憑き(きつねつき)
狐の霊に取り憑かれたとして、特定の人(女性に多い)が精神状態や行動に異常をきたす現象。憑物(つきもの)のひとつ。憑かれた人は自分が狐になったような言動を示す。祈祷師や行者を招き、松葉燻(まつばいぶし)などの呪術を行い、これを祓った。
祈祷師(きとうし)
祈祷をする神官・僧侶。シャーマンとも呼ばれる。
九字を切る(きゅうじをきる)
「九字を切る」とは九字(臨[りん]・兵[びょう]・闘[とう]・者[しゃ]・皆[かい]・陣[じん]・列[れつ]・在[ざい]・前[ぜん])を唱えながら邪気を払うものである。
経木(きょうぎ)
杉・檜、その他の木材を紙のように薄く削ったもの。へぎ板の別称。経文や法名を書くための細長い薄板。寺に奉納し追善供養する。
→経木塔婆(きょうぎとうば)
経木塔婆(きょうぎとうば)
経木を使用した塔婆。経木に経文や法名を書き、故人の冥福を祈って送り火と一緒に燃やしたり、お墓に立てかけたりする。
→水塔婆
経律論(きょうりつろん)
仏の説いた経、仏の定めた律、経典の解説論議。修行者の学ぶべき学問の柱。
→三学、三蔵(経蔵・律蔵・論蔵)
教派神道(きょうはしんとう)
国家神道の形成過程で、国家の祭祀である神社神道に対し、宗教として興った神道教派の総称。宗派神道、宗教神道。
仏教・キリスト教と共に神仏基三教と呼ばれ、事実上の公認宗教となった。
神道大教・黒住教・神道修成派・大社教・扶桑教・実行教・神道大成教・神習教・御嶽教・禊教・神理教・金光教・天理教・神宮教。このうち、神宮教は明治32年に解散し、神宮奉斎会となった。
→教派神道十三派、神道十三派
魚籃観音(ぎょらんかんのん)
三十三観音の一人で、魚藍とは魚を入れる籠のこと。魚籃観音が魚売りの美女に化身し、法華経を信仰する若者に嫁いだという逸話から、女性の悩みも取り除くとされる観音菩薩。
→三十三観音
キリーク(hriiH)
千手観音菩薩を表す梵字。干支(えと)では子(ねずみ)年生まれの守護尊。
千の手を持ち、それぞれに目がある(千手千眼・せんじゅせんげん)とされる。正式名称は「千手千眼観自在菩薩」(せんじゅせんげんかんじざいぼさつ)。千の手は、この世の全ての衆生を救う観音の慈悲の心と力の広大さを表す。聖観音の變化した姿とも言われ、眷属として二十八部衆を従える。
→蓮華王(れんげおう)
霧島六社権現(きりしまろくしゃごんげん)
宮崎県と鹿児島県の県境にある霧島山周辺に存在する6つの神社の総称。平安時代・村上天皇の時代に霧島山で修行を行った性空上人によって整備された。
霧島岑神社(きりしまみねじんじゃ)・霧島東神社・霧島神宮・東霧島神社・狭野神社(さぬじんじゃ)・夷守神社。他に、性空上人が創建した宮崎県えびの市の白鳥神社や高原町の霞神社を六社と数える説もあり、その時時に有力であった神社を六社としたとも言われている。
→霧島六所権現
禁教令(きんきょうれい)
ある宗教に対し、信仰や布教を禁じた政令。特にキリスト教を指す。
→キリスト教禁止令
空性(くうしょう)
あらゆる事物の本質は、流動变化していて実体がない。万物は発生して変化し死滅し、恒常不変のものは存在しない。人間が実体として感じているものは流動する容れ物に過ぎず、本質は「空」であるという考え方。空性に気づく事を「覚り」と言う。
→自性論
傀儡(くぐつ、かいらい、でく)
操り人形。パペット、マリオネットなど。木偶の坊(でくのぼう)。
平安時代、人形を操り各地を漂泊した芸人一座。彼らの一部は社寺に仕え布教に貢献した。
自らの意志を持たず他人の言いなりに動き利用されている人物を指す意味もある。
→傀儡師(くぐつし)、傀儡女(くぐつめ)、傀儡政権(かいらいせいけん)
公験(くげん)
公的な証明。公文書。律令制下で正式に得度した僧尼に発行された身分証明書。
→度牒 →度縁 →告牒
功徳(くどく)
善行や修行の結果として、神仏によってもたらされる果報、恵み。幸福や利益をもたらす善行の能力。御利益。
→善根功徳
国津神(くにつかみ)
地祇(ちぎ)、地神とも呼ばれる。高天原から降臨した天津神に対し、古来からその地に現れたとされ、葦原中国(あしはらのなかつくに)に住む神々の総称。地方豪族や民衆に信仰された地上の神々。天津神と国津神の関係は天皇家(天津神)と地方豪族(国津神)との支配関係を示唆させるものでもある。
本来は天津神でありながら、乱暴狼藉を働いたとして、姉である天照大神の逆鱗に触れ高天原を追放された須佐之男命(すさのおのみこと)とその末裔、須佐之男命の娘である須世理毘売命(すせりびめのみこと)を妻に娶った大国主神(おおくにぬしのかみ)は国津神とされる。
→天津神
求不得苦(ぐふとっく)
仏語で八苦の一。求めているものが得られないことから生じる苦しみ。
加行(けぎょう)
正式な修業に入る前の準備段階として行われる修行。主に密教で灌頂(かんじょう)・受戒・伝授などを受ける前段階の修行。四度加行(しどけぎょう)→十八道法・金剛界法・胎蔵界法・護摩法。
下供(げく)
当寺において、お供えが終わり仏前から下ろした供物を意味する。一度下ろした物を再度お供えしてはいけない。
→上供(じょうく)
外護摩(げごま・そとごま)
実際に火を燃やして行う護摩。事護摩とも言い、瞑想の中で行う護摩を理護摩、内護摩と呼ぶ。外護摩と言っても野外で行なわれるもののみを指すわけではなく、家の中で行っても外護摩と言う。
下座行(げざぎょう)
自分を人より一段低い位置に置き、謙虚な姿勢で修養に励むこと。自他の利益を重んじる。お寺で不浄な仕事(便所掃除など)をすることによって過去の行いを悔い改める修行。
結壇(けちだん)
祈願、祈祷をするために、火を焚く壇を構築する事。密教特有の手法。
結界(けっかい)
仏教において秩序を維持するために、聖なる領域(清浄)と俗世の領域(不浄)を分ける事。聖域。仏道修行の妨げとなる者が立ち入ることを禁じる区域。密教では一定の修法の場所に印を結び真言を唱え浄め守護する。
結集(けつじゅう)
釈迦入滅後、弟子たちが師の教えを確認するために集い、経典を集成した。仏教の三蔵(経・律・論)をまとめた編集会議。
この仏典結集は史上4回行われている。
結制(けっせい)
安居に入ること。釈迦の時代、雨季の期間は、無益な殺生を避けるために行脚托鉢をやめ、阿蘭若に留まって座学を行った。
安居は結夏(けつげ)に開始され、解夏(げげ)で終了する。現在は雨季に関係なく安居であり、1年を二期に分け、2月~7月までを雨安居、8月~1月までを雪安居と言う。
→夏安居
外道(げどう)
仏教以外の教え、またはそれを信仰する者を指す総称。転じて、道に背く者、異論や邪説を唱える者を蔑称する意味でも用いられるようになった。
→内道
原始一神観(げんしいっしんかん)
宗教の原初形態が至高神を崇拝するものであり、未開民族においても一神教が存在していたとする学説。民俗学者ヴィルヘルム・シュミットなどが唱えた。
→原始一神教説
原始一神教説(げんしいっしんきょうせつ)
ドイツの民俗学者ヴィルヘルム・シュミットが、著書『神観念の起源』において展開した宗教学説。
→原始一神観
見性(けんしょう)
自己の本性を見極める事。修業によって自性が「空」である事を感得し、仏の真理を悟る事。禅の覚り。
→見性悟道
現世利益(げんぜりやく)
この世で仏や菩薩から与えられる息災、延命などの恵み。現益、現生益(げんしょうやく)とも言う。
→当益
眷属(けんぞく)
血筋の繋がっている者。身内、同族、親族。または従者、家来、配下、隷属する者。
→眷属神
還俗(げんぞく)
出家者が再び世俗の者に戻る事。帰俗・復飾とも言う。
顕密一致(けんみついっち)
顕教と密教はひとつであるという考え方。
験力(げんりき)
修業によって特別な現象を顕現する力。功徳の徴が現れる事。
行雲流水(こううんりゅうすい)
空を行く雲や流れる水のように何事にも執着をせず、自然に任せて行動すること。人が生きる上で様々な物事への執着が生まれます。それらを全て捨て去ることは難しいですが、無駄な執着を少しでも減らす努力をすることで、欲望や煩悩に縛られることから解放され、やがて自然のままに悠然と振る舞うことが出来るようになるでしょう。
光炎万丈(こうえんばんじょう)
光り輝く炎が高くたちのぼること。詩文などが勢いがあることのたとえ。
興禅護国論(こうぜんごこくろん)
鎌倉時代、建久九年(1198年)、栄西によって書かれた十門から成る著書。旧仏教界からの非難に対し、禅宗は異端ではなく、国家繁栄のために必要不可欠であると主張したもの。
興福寺(こうふくじ)
奈良県奈良市登大路町(のぼりおおじちょう)にある、南都六宗の一つ、法相宗の大本山の寺院である。南都七大寺の一つに数えられる。藤原氏の祖・藤原鎌足(ふじわらのかまたり)とその子息・藤原不比等(ふじわらのふひと)ゆかりの寺院で、藤原氏の氏寺であり、古代から中世にかけて強大な勢力を誇った。南円堂は西国三十三所第9番札所である。「古都奈良の文化財」の一部として世界遺産に登録されている。(出典:Wikipedia)
公式サイト : 法相宗 大本山 興福寺
紅帽(こうぼう)
チベット仏教の古派。紅教。
蛤蜊観音(こうりかんのん)
三十三観音の一人で、貧しい漁師が蛤を食べようとしたが殻が開かず香を焚いて祈ったところ、中から観音の化身である美女が姿を現し、妻となったとされる。俗称ははまぐり観音で、似たような昔話に「はまぐり女房」がある。
→三十三観音
国学(こくがく)
江戸時代中期、古事記・日本書紀・万葉集などの古典を文献学的方法により研究した学問。
儒教・仏教渡来以前の日本固有の精神・文化を明らかにしようとした。
→漢学
国粋主義(こくすいしゅぎ)
自国の血統や優秀性を主張し、固有の長所や美点を維持するため、外来の思想や文化による影響を排除しようとした排外主義的な考え方や運動。
明治政府の欧化政策に対峙するものとして起こった運動。
→自文化至上主義
極楽往生(ごくらくおうじょう)
日本の仏教では、安らかに成仏する、死後極楽浄土に転生する事を言うが、本来は現世で安楽境を感得する事を意味する。
→蓮華化生
極楽浄土(ごくらくじょうど)
阿弥陀如来の座す西方浄土を指し、「幸福に満ち満ちてあるところ」の意。苦しみや悩みが一切存在しない安楽の世界。
人々は死後、極楽浄土に転生すると言われているが、覚りの智慧を体得した者は現世が極楽になると言われる。
刻露清秀(こくろせいしゅう)
秋の気候のさっぱりとすがすがしいさま。秋の景色のすがすがしいさま。
国分寺(こくぶんじ)
天平13年(741年)、聖武天皇の勅令によって国家鎮護のため日本各地に建立された寺院の事。東大寺・法華寺など全国69箇所に建立された。
→国分尼寺
五家七派(ごけしちは)
五家に分かれた中国南宗禅に、臨済宗分派の楊岐派(ようぎは)、黄竜派(おうりゅうは)の二宗を加えた禅宗分派の呼称。
→五家七宗
五七の桐(ごしちのきり)
ゴマノハグサ科の桐の花や葉を図案化した家紋で、直立する3本の花序と、3枚の葉から構成される。花序につく花の数が5-7-5となっているものを五七の桐と呼ぶ。一般的な桐紋は花序が3-5-3となっている五三の桐を指す事が多いが、五七の桐は嵯峨天皇の頃から天皇家の副紋として用いられ、菊紋に次ぐ格式高い紋とされた。後醍醐天皇より足利尊氏がこの紋を賜った事から最も望まれる紋の一つとなり、豊臣秀吉もこれを賜った。現在では、日本国政府の紋章としても使用されている。中国では、聖天子の誕生を待って現れる瑞鳥である「鳳凰」が宿る木が桐であるとされ、日本でも天皇や皇族が衣類や所持品に用いた。一般的には五三の桐が多く、丸に桐紋が70%を占める。
五色幕(ごしきまく)
五色幕とは、仏教の寺院の壁などに掛けられている5つの色の幕の事。配色にはそれぞれ差異があるが、一つの例として白・青・黄・赤・黒などがある。 ただし青と黒は現在使われる青色(ブルー)や黒色(ブラック)ではなく、伝統的表現の緑(翠)と青(群青)で表される。
壺中日月長し(こちゅうじつげつながし)
「壺中」とは壺の中の別天地「仙境」を指し、「日月長」とは時間に追われることなく悠々と過ごすことを意味します。壺中の悠々自適とした生活に憧憬を抱きながらも私達は現実の中で生きていかなければなりません。「遠い理想郷に思いを馳せるより、目の前の現実を精一杯生きることが大切」という教えと言えるでしょう。
近衛御門(このえのみかど)
陽明門の異称。
近衛門(このえもん)
陽明門の異称。
近衞文麿(このえふみまろ)
近衞 文麿(1891年(明治24年)10月12日 – 1945年(昭和20年)12月16日)は、日本の政治家。勲等は勲一等。爵位は公爵。新字体で近衛 文磨とも表記される。
貴族院議員、貴族院副議長(第10代)、貴族院議長(第9代)、内閣総理大臣(第34・38・39代)、外務大臣(第57代)、拓務大臣(第13代)、班列、農林大臣(臨時代理)、司法大臣(第43代)、国務大臣などを歴任した。(出典:wikipedia)
御幣(ごへい)
御幣(ごへい)とは、神道の祭祀で用いられる幣帛の一種で、2本の紙垂を竹または木の幣串に挟んだものである。
幣束(へいそく)、幣(ぬさ)ともいう。
通常、紙垂は白い紙で作るが、御幣にとりつける紙垂は白だけでなく五色の紙や、金箔・銀箔が用いられることもある。(出典:wikipedia)

御幣(ごへい)の織り方

護摩壇(ごまだん)
護摩木を焚いて祈祷する炉を設けた壇。日本では木壇を使用する。
→炉壇
五輪塔(ごりんとう)
主に供養塔・墓塔として使われる仏塔の一種。五輪卒塔婆、五輪解脱とも呼ばれる。一説に五輪塔の形はインドが発祥といわれ、本来舎利(遺骨)を入れる容器として使われていたといわれるが、インドや中国、朝鮮に遺物は存在しない。日本では平安時代末期から供養塔、供養墓として多く見られる。現在では経典の記述に基づき日本で考案されたものとの考えが有力であると言われている。
矜羯羅童子(こんがらどうじ; 梵語:Kiṃkara)
不動明王の従者・八大童子の7番目。不動三尊の一人であり、制多迦童子と共に不動明王の脇侍を務める。不動明王の左側(向かって右)に配置される。
金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)
「金剛頂経」に基いて描かれる曼荼羅で、胎蔵曼荼羅より後に成立したと言われている。大日如来の金剛不壊(こんごうふえ)なる「悟りの智慧の働き」を表す。胎蔵界曼荼羅が「理」を表すのに対して、金剛界曼荼羅は「智」を表し、より理論的で精神性の強いものとなっている。
→胎蔵(界)曼荼羅
金剛経(こんごうきょう)
般若系経典の一つで、正しくは金剛般若波羅蜜経(こんごうはんにゃはらみつきょう)の事。真実の智慧は「空」によってのみ得られると説く。過去世も現世も金剛王三昧の大光明であると説き、因果を超えて罪業が消滅するという教え。
→金剛般若経
金剛杵(こんごうしょ)
密教の修法で用いられる金属製の法具。本来は雷霆インドラ神や執金剛神が持つとされる両端に鋭い刃についた杵型の武器の事である。あらゆる煩悩を砕破する智慧の象徴として採り入れられた。
→バジュラ
金剛不壊(こんごうふえ)
極めて堅固で壊れないこと。本来は、仏の身体は金剛石のように堅く壊れないという意味。
金剛不壊なる信仰心=堅固な信仰心。
金胎不二(こんたいふに)
金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅は表裏一体であり、二つで一つであるという意味。
→理智不二、両部不二
権(ごん・けん)
1 はかりごと、事の成否をはかる→権謀(けんぼう)。
2 仮の、臨時の→権現(ごんげん)・権化(ごんげ)
3 服従させる力、勢い→権力・権威・強権・覇権(はけん)
4 物事にあずかる資格→権利・人権・特権・債権・利権