三国名勝図絵を巡る旅

今月2日の毎日新聞に興味深い記事が掲載されました。
「三国名勝図絵 巡る旅」と題されたその記事は、鹿児島市の歴史愛好家・東條広光さんによってまとめられた小冊子『絵画資料を読む~三国名勝図絵・鷹口海湾』を紹介したものです。
三国名勝図会には当時の般若寺も描かれており、今回の記事は般若寺を取り上げたものではありませんが、三国名勝図会を研究する資料として大変貴重なものであると思われます。

以下に記事を引用いたします。

三国名勝図絵 巡る旅 歴史愛好家・東條さんが小冊子 阿久根「鷹口海湾」探し出す

鹿児島市の歴史愛好家、東條広光さん(55)がこのほど、「絵画資料を読む~三国名勝図絵・鷹口海湾」と題した小冊子をまとめた。三国名勝図絵は薩摩、大隅、日向の名所旧跡、寺社仏閣などをまとめた、当時の”鹿児島大百科事典”で、江戸~明治にかけて編さん・出版された。約500点ある挿絵の中から「鷹口海湾」と記された絵の舞台を探し出す旅になっている。 【 山崎太郎 】

きっかけは数年前、古書店に三国名勝図絵全60巻が積まれてあるのを見つけ、「10万円で買ってしまった」(東條さん)こと。挿絵の舞台がどこで、現在はどうなっているのかを、休日を使って訪ね歩くようになった。
 特に気になったのが、当時の阿久根村にあった鷹口海湾。絵には巨岩、小島、人々の往来などが描かれている。絵の内容や伊能忠敬の測量図、現在の地形、他の資料、フィールドワークなどを重ね合わせ、現在の阿久根市鷹口であると結論づけた。
 見知らぬ土地を歩き回り、地元の古老らからの聞き取りも欠かせないため、無用な警戒心を起こさせないようにと現地調査には娘に同行してもらった。公務員の本業とは別の取材用名刺を用意するなどの配慮も。雨で調査できない日は自宅や図書館で調べ物に没頭した。
 こうした成果をまとめA5版20ページあまりの小冊子にした。表紙と、本文の印刷用紙には和紙を使い、糸でとじて和装本にするこだわりよう。50部製作し、県立図書館などや友人たちに寄贈した。
 東條さんは「まだまだ尋ねられていない場所があるので、いくつかの成果をまとめて本にできれば。他の資料を題材に調べたいこともあり、興味の種は尽きない」と話す。

毎日新聞 2013年3月2日記事より

三国名勝図会を巡る旅

三国名勝図絵 巡る旅