2008年星供

2008年対馬・霧島分寺合同「節分・北斗柴燈護摩供養・星祭り」(星供)を行いました。
多数の門徒・信徒様や地元の方々がご参加されました。

節分の夜「福は内、鬼は外」と大声を張り上げ、豆まきをして鬼追い。これを追儺(ついな)とも言いますが、この行事の由来は何から起こったものでありましょうか。
 それは今を去る千百年の昔、宇多天皇の御代、鞍馬の奥に僧正ケ谷というところがあり、そこに二頭の鬼が住んでおり、夜な夜な都に出て来て乱暴を働いたのでありますが、天皇は仏教に篤き信仰を持っておられたので毘沙門天のお示しにより、三石三斗の大豆を煎って鬼の眼に打ち、これを退治したとの故事に由るのであります。
 このような伝説が今も立春の前の夜、即ち冬と春との季節の分かれ目に行事として行われていますし、一年は春夏秋冬の順で移り変わりますので季節から言えば節分の日が「年越し」ということになるのであります。いよいよ明日から春が立ち、幸先良き新しい季節の出発に際して、神仏に祈り願う行事が節分会であります。
 私達人間は色々の星の下に生まれ、自分の星によって種々の運命が変わり、この運勢の変わり目が節分であるとされています。色々の星と言うのは月火水木金土の星の羅喉星と計都星の二つを加えた九曜星でありまして、これらの星によって吉凶が決まるのであります。
 従って、節分の夜には北斗七星、九曜星、大日経や宿曜経に説かれております日々の吉凶を表す二十八宿をお祀りして一年の厄を除き、福を招くことをお祈りする祈祷会を行うのでありまして、これを星供または星祭りと言うのであります。
 節分星祭りには星供次第という秘法を修するのでありますが、高野山では多く北斗護摩と言って、壇上で護摩木でもって火を焚いてご祈祷を行いますので、ここで密教の秘法であります護摩供(ごまく)について少し述べておくことに致します。
 弘法大師さまのご祈祷が主として、この護摩供の秘法によったということは種々の文献で明らかであります。大日経には、護摩のことを「妾分別を焼除し浄菩提心を成ず」とあり、大日経疏には「慧火(えか)をもって煩悩の薪を焼き尽くして余り無からしむるの義なり」とあります。
 要するに護摩供は、仏様の智慧の火をもって迷う心や病気など身体に巣食う不浄なるものを余すところなく焼き払い、清浄なる菩提心を中心として、災厄を消し(息災)幸せを増長し(増益)人に尊敬され(敬愛)迷いの世界より覚りの世界へ導かれ(鉤召=こうしょう)この現世において幸せに満ちた仏国土を築くための供養行であります。